監修:日本赤十字社医療センター 血液内科部長 骨髄腫アミロイドーシスセンター長 石田 禎夫 先生

DCyBorD療法
治療中の副作用は?

DCyBorD療法の治療時には、副作用があらわれることがあります。早い段階で気づくために、副作用やその症状について知っておきましょう。気になる症状があれば医師に連絡しましょう。

ダラキューロ®の投与中には下記のような副作用に注意してください。このような症状がみられた場合は、重大な副作用であることもありますので、放置せず、次の診察時を待たずに早めに医師、薬剤師などに相談してください。

︎インフュージョン・リアクション
(Infusion reaction)

DCyBorD療法での治療によって、注射時にインフュージョン・リアクションとよばれるアレルギーのような症状があらわれる可能性があります。

  • 臨床試験では、7.3%の患者さんにインフュージョン・リアクションがあらわれました。
  • アナフィラキシー(薬が、からだに入ってから短時間で出現するアレルギー反応です)、鼻づまり、せき、寒気、眼症状、気管支けいれん、低酸素症、呼吸困難などの症状が出ることがあります。
  • まれに症状が重くなることがありますので、早めの対処が必要です。
  • 初めてダラキューロ®の注射を受ける場合にみられることが多く、注射開始から約4時間後に一番みられやすいです。
  • 遅発性(ダラキューロ®投与開始から24時間以降)の症状がみられることもあります。
主な症状
「主な症状」の説明画像
予防・対策など
  • ダラキューロ®投与前にインフュージョン・リアクションを予防するためのお薬を投与しますが、完全に防ぐことはできません。ダラキューロ®投与中および投与後に少しでも体調の変化に気づいたら、ただちに医療スタッフへ報告してください。
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)あるいは気管支喘息にかかったことのある方は、特に注意が必要ですので、医療スタッフへ伝えてください。

骨髄抑制・感染症

DCyBorD療法での治療を始めると、好中球やリンパ球、
血小板の数が減ることがあります。

  • 好中球やリンパ球の数が減ると、抵抗力が低下して感染症にかかりやすくなります。
  • 血小板の数が減ると、出血が止まりにくくなります。

病気やお薬などの要因で正常な血液細胞が減るため、
感染症にかかりやすくなっています。

  • 主な感染症は上気道感染(かぜ症候群)です。また、肺炎などの重い感染症や日和見感染症*があらわれる可能性があります。

常在菌や弱毒菌などによるもので、免疫力が低下している時にかかる感染症

主な症状
「主な症状」の説明画像

好中球が減少している状態で発熱すると、急激に重症化します。
発熱後、すぐに対処することが重要ですので、熱があったらすぐに病院へ連絡してください。

予防・対策など
  • 必要に応じてお薬をお休みしたり、好中球を増やすお薬または血小板輸血、感染症に対するお薬などを使うことがあります。
  • 出血の予防のために、転倒や外傷、打撲しないように注意しましょう。
  • 感染症にかからないために、日頃から手洗い・うがいを行い、からだを清潔に保ちましょう。
  • 毎日体温を測定しましょう。
  • 熱っぽさを感じたら体温を測定し、熱があったらすぐに病院へ連絡してください。
「感染症」の説明画像

末梢神経障害

DCyBorD療法での治療を始めると、手足の先のしびれ、痛みがあったり、感覚が鈍くなったり、冷感や温感など温度を感じにくかったりすることがあります。

予防・対策など
  • このような症状が出た場合は、ただちに医療スタッフへ報告してください。

体調の管理に「患者日誌」を
活用しましょう

  • DCyBorD療法による治療をより安全に行うために、「患者日誌」を活用しましょう。
  • 患者日誌は、治療の状況やご自身の体調、からだにあらわれる症状などを毎日記録するための冊子です。
  • 気づいたことや気になることなど、なんでもメモしておきましょう。
  • 患者さんの状態を確認する大事な情報となりますので、医師または医療スタッフと記録した内容を共有し、一緒に治療に向き合っていきましょう。
「患者日誌」の説明画像